学生さん向けに国際保健に関する講義や講演をしているためか、例年、この時期になると夏休みに向けたボランティアがらみの問い合わせをよく受けます。とくに、最近は格安航空券が手に入りやすくなったこともあり、途上国でのボランティア活動を志向する学生さんが増えてきました。
そんな学生さんからの問い合わせは、まあ、だいたい判で押したような内容です。「タイに行きたいのですが、エイズホスピスはどこにありますか?」とか、「ネパールに初めて行きます。よく知らないのでNGOを紹介してください」とか・・・
思えば、かれこれ15年以上、私はこうした問い合わせに答え続けてきました。しかも、それに対する私の回答は15年間、ほとんど変わっていません。
「まずは、あなたが関心のある国について、楽しく旅行されたらどうですか? その国の悲しい部分を先に見ようとするのではなく、素敵なところを発見してみてください」
「ボランティアをしたい」という気持ちは立派なのですが、ある国をよく知りもせずに、いきなり援助したいというのは、その国に対して「失礼」だということに気がついてほしいのです。たとえば、「ネパールでボランティアをしたい」という前に、まず、「ネパールという国を知りたい」という動機があってしかるべきです。
知りもしない、行ったことすらない国の「貧困や無知」を勝手に想定し、それを支援したいと希望する人には、きつい言い方ですが、その人の発想の「貧困と無知」がすでに見え隠れしています。現地の人々の生活を無視した援助の暴走が、すでに大学生にして、始まろうとしているかのようです。




